心理カウンセリングやセラピーはどのような形式で行うか知っていますか?
カウチに横になって、好きなことを話すんでしょ?
とか、
ベッドに横になって退行催眠していくんですよね。
とか、
夢判断なんて言いながらも、夢占いの方が楽しいし♬
など。
これはもう、誰の責任でもありません。
心理業界というのはとても閉鎖的ですから。
カウチに横になるのは、フロイト先生の精神分析療法ですね。
寝椅子に横になり、セラピストはその背後で声をかけながら瞑想状態に導きます。いわゆるイメージ法。
催眠療法。催眠療法学会という団体があるような、ちゃんとした(失礼)心理療法です。いわゆるヒプノテラピーとは違います。
夢占い。根拠がありません。
カウチと催眠は、とても興味があります。
ですがセラピストになるのは血の滲むような訓練が必要なため、情人では辿り着けない領域。カウチに至っては、毎週、週4日ほど通うことが求められます。
お金も、時間も、相当かかる。
この、お金と時間がかかることが、心理カウンセリングが普及しない原因でもあります。
風邪を引いたらかかりつけ医、捻挫をしたら整形外科、痴呆症なら脳神経外科。西洋医学を信じないという方は漢方外来。
女性は婦人科へ通院し、男性でも糖尿病などの持病があれば経過観察をします。
これと同じように、精神的ストレスが溜まったら精神科、精神的なストレスが原因で体調が悪くなったら心療内科。
精神科での投薬を善しとしない方や、自分の力で治っていきたいという方は、心理療法を選びます。ただ、今のところは保険適用外です。
簡単に言えば自費治療です。
ここが少し複雑なのですが、心理療法は療法と名は付けど医学とはまた違います。
心理学的支援、そんなように説明することが多い。
私たちは心理学を駆使し、心の深淵を覗きます。
覗く、なんて書くと怪しく聞こえますが、そこはセラピストそれぞれのやり方があります。
少なくとも私は、海の奥深く、氷山の本体の更に奥に潜っていきます。そして隠されていた悩みの原因を持ち帰り、太陽に当てて溶かします。
観念的ではありますがその繰り返し。
時には対話を通して、行動を通して、文字を通して。
6年前に開業した際、同じ資格保有者は私がオンラインでセラピーをしていると伝えると、心配さえしてくれました。
彼らは、対話を通してのセラピーしか知らなかったからです。
教科書に載っている心理カウンセリングしか、教わってこなかったのです。ですので、2023年になり、大家の先生方がこぞってチャットセラピーやオンラインセラピーをしている姿を見ると、彼らも重い腰をやっと上げてくれたんだな、と安心しさえします。
さて、チャットでのセラピーなんてそもそもできるのか。
ここ最近の風潮として、コミュニケーションに難を生じる方をよく見かけます。対話という双方向のコミュニケーションが取れず、メールやLINEなどの半方向のコミュニケーション。
既読が付くかつかないかで一喜一憂し、いいねがつけば嬉しい、つかなければ否定されたように感じているように見える方。
あなたの側にも、、もしかしてあなた自身がそうなのかもしれない。
ズバリ、文字でのセラピーは可能です。
ただ、セラピストがタイムキーパーとなり管理をしていないと、雑談のようにいつまででもチャットが進んでしまいます。
以前、自ら体験をしようと外部のチャットセラピーに参加したところ、散々な目に遭いました。対話は進まず、主観だけのセラピスト、時間になったらぶっつりと切られてしまいました。
時間の管理はばっちりでしたが、相談にさえなっていなかったように思えました。と、こういうことも起こりえるのです。
だからこそ、チャットセラピーは大変です。
チャットだけでなく、全てのセラピーは大変です。
むろん、命がけです。
コロナ禍になり、オンライン診療なるものも世に出始めました。
時代が、アトリエ・IMAに追いついてきたとしか思えません。
これだけは知っておいてほしいのです。
そこには必ず対価が必要なんだ、ということを。
セラピーの方法を選ぶのはクライエント自身。
そしてただ寄り添うだけではなく、その方法が合っているのかそうでないのかを見極めながらセラピーを進めていくのはセラピストの腕の見せどころ。
お互いに尊重し、氷山の本体に隠れている悩みの本質を陽の光に当てて溶かす。身軽になって新しい自分を生きる。
空は明るく、山や海は大きく広く、川は常に流れている。
そんなことを体験するために、セラピーは続きます。
クライエントが命をかけているように、本当のセラピストは身を削ってセラピーに臨んでいます。だからこそ、相互作用として成長していくのではないでしょうか。
どのような方法でも(犯罪はダメですよ!)、セラピーになりうる。